カロリー制限理論が生まれた1960年代、食事と栄養の分野では何があったのか。

今日はお昼にお好み焼きをそば入りで食べてみたところ、午後は眠くてしかたがなかったOTです。

先日の投稿「運動で痩せるか痩せないか。その3(いったんまとめ)」で紹介したこの本。

 

ヒトはなぜ太るのか

 

 

ここには、既に20世紀の前半までには「太る原因は糖質ではないか」という研究が積み重ねられてきたし、それ以降にも研究報告が続いていたことが書かれています。

 

例えばいわゆる「スポック博士の育児書」で有名なスポック博士(Benjamin M .Spock)は、1946年初版の「赤ちゃんと子どもの世話(Baby and Child Care )」の中で、

 

「大部分の人たちにおいて、体重がどのくらい増えるかまたは減るかは、味の付いていないデンプン質の食物(穀物、パン、いも)の摂取量が決める」

 

と書いたし、

 

さらに遡る1936年にはコペンハーゲン・ステノ記念病院の医師ペール・ハンセン( Per Hanssen )によって、炭水化物を制限する食事の試験と臨床研究の報告があったことの紹介もあります。

 

なんと驚くべきこと。

 

だって生まれてこのかた45年間、報道や書籍、日常会話を通じて「カロリー制限の理論」に基づいて、太るのは脂肪の取りすぎでカロリーオーバーになるからだと聞かされてきたんだもの。

 

ついこの半年前に知ることになった糖質制限食は、ずっと以前から研究が確立していたんだって。

 

では、その後20世紀半ば以降に、食事と栄養の分野でなにが起こったのでしょうか。

 

この点、同じ

「ヒトはなぜ太るのか」

 

では、その起点となった出来事として、1965年のニューヨークタイムズの記事が紹介されています。

 

その記事は、炭水化物制限食に反対する立場から「栄養学者に非難された新しい食事法:炭水化物の低摂取は危険である」と題して、ハーバード大学のジャン・マイヤー(Jean Mayer)に、炭水化物を制限した食事を公衆に処方することは「大量殺人に等しい」と言わせました。

 

え?大量殺人?ですか?

 

このタイムズの記事ではっきりと「ダイエットをする人たちは、カロリーの摂取量を減らすか、それを燃やすのかのどちらかによって過剰なカロリーを削減しない限り、体重を減らせないことは、医学的な事実である」と説明がなされたと書いてあります。

 

来ました!これですね!

 

さらに、1980年代初期までタイムズの記者ジェーン・ブロディ(Jane Brody)が栄養問題の特ダネに影響力をもち、彼女は

 

「私たちはもっと炭水化物を食べる必要がある」

「パスタを食べることは流行の先端を行くだけではなく、体重を減らす助けにもなる」

 

と叫んで、

 

1995年には米国心臓病協会が、脂肪分さえ少なければ事実上何でも(キャンディーや砂糖)食べてよいとしたパンフレットを発表するまでになったのだと。

 

今日の糖質制限食にも批判が巻き起こっていますが、その支柱となっている「カロリー制限理論に基づいて脂肪を少なく食べろ」という流れは、これらを知る限り、はは〜んアメリカ発なのかな?と思ったりします。

 

だとしたら、

 

あー、やっぱりそうなんだね。

 

と印象をもちます。

この1965年のニューヨークタイムズの記事は、これからこの問題を調べる際にはよく覚えておかなきゃ。新聞と専門家と記者と。

 

1965年頃になにがあったんだろう?

と、ふと「穀物メジャー」をWikipediaで見てみたら、その「歴史」としてこんなことが書かれていました。

 

1960年代初頭までは冷戦下にあったことから、アメリカ合衆国から東側諸国への食糧輸出は行われなかったが、1963年ジョン・F・ケネディ大統領は400万トンを上限としてコムギおよび小麦粉ソビエト連邦(現ロシア) へ輸出することを許可した。1972年、世界的な凶作による食糧危機が発生。同年夏にソビエト連邦は、コンチネンタルグレインからトウモロコシ625万トン・コムギ500万トンをはじめとする穀物の大量買い付けを行い[7]、穀物は核、石油に次ぐ「第三の戦略物質」と呼ばれるようになった[8]。これを機に、アメリカの穀物輸出は、余剰在庫の処分から世界市場の獲得を目的としたものに変貌し、大手国際穀物会社は穀物メジャーと呼ばれるようになる[9]。1980年代にはADMやコナグラといった新興勢力が力を伸ばしていった。

 

つまり穀物メジャーは、1963年のジョン・F・ケネディの小麦輸出の許可、1972年の食糧危機を機に、第三の戦略物質として世界市場の獲得をめざすようになった、と。

 

カロリー制限理論が言われ始めた時期と、穀物メジャーが世界市場の獲得をめざすことになった時期が符号している。

 

この符号から何をどこまで読み取るのべきなのか、私にはまったく手に負えませんが、ただ、ハッキリしているのは糖質制限食を始めなければこんな「符号」にも気づけなかったってこと。面白いなぁ。