この連休に全商連の「業者青年交流会2014 in 福井」に参加してきました。

わたくしOTは商売経験のないまま代書業を開業したので、地域の民主商工会に参加してリアルに商売の先輩方から薫陶をうけ、併せて社会的や経済的問題も学ばせていただいておるのです。

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福井県あわら市までバスで片道8時間はなかなかの強行軍でしたが、30代前半のつもりで行って帰ってきました。あわら市はいかにも日本海の温泉街といった風情で厳冬期にまた訪れてみたいものです。

さて、この交流会での「商売繁盛を妨げる消費税ー悪税の本質を学ぼうー」という講演が目からウロコでしたのでエントリーにしておきます。

消費税ここがおかしい

これまで消費税の問題を考える際の論点として、以下の論点を考えてきました。直接不利益をこうむる当事者である消費者・自営業者の立場から重要なことです。

  • 払えない人からも「広く薄く」とる構造的な不公平
  • 消費に課税するので消費を冷やす
  • 納税義務者は消費者ではなく実は事業者
  • 膨大な額の滞納がある欠陥税制
  • 輸出大企業だけ「還付金(戻し税)」が支払われる優遇がある

中小零細業者への徴税で地域経済が疲弊

特に滞納は中小零細業者に集中して地域経済を疲弊させていくとの論陣は、ジャーナリストの斎藤貴男さんの著書に詳しいです。

斎藤さんの実家が商売をされていたことにも触れられていて、消費税を滞納して差押えされるのは地域の中小零細企業者であること、構造的欠陥と言わざるを得ないほど滞納が発生していることを知りました。

地域経済の衰退で消費者は回り回って十分なサービスを享受できなくなる。このことを消費者(労働者)層にもぜひ知って欲しい、知らせる活動は事業者自身が展開しなければとの思いを強くした本です。

輸出大企業にだけ「還付金」が優遇される不公平

また、トヨタやマツダなどの輸出大企業には消費税分が「戻し税」「還付金」として払われる。これを払うために税務署が振込に追われ赤字になっている。事実上「輸出補助金」になっている。消費者と中小零細業者に負担させながら輸出大企業だけはなぜ優遇するのかという不公平問題。

消費税還付金 10社に8700億円 こんな不公平許せない=湖東京至税理士試算
http://www.zenshoren.or.jp/zeikin/shouhi/111212-01/111212.html

制度の建前は「部品などに消費税がかかり完成品を外国で売るときには消費税を取れないから国から還付する」というが、実際には下請けが消費税分を転嫁できない力関係が無視されており、やはり不公平があるのだというもの。

「消費税の不公平さ」はどこからくるのか?

ところが、これらの問題のうちどれが根本的なのかと考えてみるとどうも腑に落ちません。

社会保障の充実のためには「必要悪」ではないのかという考えもありえます。実際に欧州では消費税で高福祉とされる国もあるわけで消費税の導入と税率のアップを前提にして、日本も福祉型社会を目指す途もある、という議論になってしまいそうです。

これでは消費税のどこが原理的に問題なのかわかりにくい。不公平な欠陥税制ながらもなぜ推進されるのかその背景が見えてこない。

今回の「商売繁盛を妨げる消費税ー悪税の本質を学ぼうー」を講演された岩本沙弓さんは、世界経済・通貨戦争という視点から消費税を解明してくれて霧が晴れるように見通しがよくなりました。講演後にロビーで本買いました。

世界経済を見ないと消費税のことはわからない

講演をそのまま再現する力ありませんので著書をオススメするくらいしかできませんが、消費税と世界経済が根深く関わっていて驚くことばかりでした。

そのうちの一つ、アメリカは消費税を採用していないことについて。

アメリカが消費税を採用しないわけ

  • 消費税(付加価値税)は世界約140ヶ国で採用されているのにアメリカは採用していない。州にある小売売上税と消費税が全く別ものなのは税の専門家なら常識。
  • 1954年からフランスが始めた歴史の浅い税制。その後欧州が導入推進するためにアメリカと GATT で協議。1960年より協定化されて広がった。
  • 1971年の金本位制の停止=ニクソンショックの背景に、消費税(付加価値税)の存在があったことがアメリカ公文書から見えてくる。
  • アメリカは消費税(付加価値税)が非関税障壁として働いた結果について GATT の協定合意を「失敗だった」と総括している。

アメリカは欧州の要求をのんで消費税(付加価値税)を認めたが、のちに金本位制の停止に追い込まれたこともあり消費税を非関税障壁とみなすようになった。

このことから現時点でもアメリカは消費税を自国で導入しない立場を続けているし、相手国の消費税増税には(なんらかの)「報復措置」を取っているというのです。

そして「輸出製造業のみを優遇するのはアンフェアだ」との判断もあるとしたらアメリカらしい、と思います。

消費税は最初から「輸出還付金」として誕生していた

そうすると、ここまでで「どうして輸出還付金なんてものがあるんだろう?」という先の疑問の答えが出ます。

つまりそれは「そういうものなんだよ」ということ。

フランスが始め欧州が広く採用するためにアメリカとの通商交渉に持ち出すことで生まれたものだから、最初から世界経済競争のツールと位置づけられているのです。

これで同時に「社会保障の充実」のなんてのも後付けの理屈だとわかる。実際に日本への導入時の大蔵省もそう思ってなかったし、アメリカの財務省からそのように示唆を受けていた。そしてなによりも現実に社会保障費の充実には繋がっていない。

このように消費税が「輸出補助金」を間接税形式で実現したものだという出自を知れば、さまざまな問題点が整理されます。

EU加盟国は消費税の導入を義務づけられているものだから「ヨーロッパ並みの福祉水準」と消費税を関連させて議論するのとか某大学の先生がやってましたけどアレも違ったわけです。

日本における消費税導入とアメリカ

じゃあ、日本における消費税導入はどうなんだ?というと。

アメリカはよく思っていないし導入と税率アップの度にキッチリ報復を受けているというのが岩本氏の指摘。

著書で圧巻だったのは、消費税導入と税率アップをめぐる政局と内閣交替のくり返しが振り返ってあります。そしてその度にアメリカからなんらかの「報復」が続いてきたことを跡づけて書いています。岩本氏は控えめに仮説として書いていますけど、見事な喝破だと言っておきます(笑)。

一つ紹介しますと、あの親米とされる中曽根政権、小泉政権では消費税の導入、税率アップが実施されていません。消費税率5%から8%さらに10%への増税した「報復」は、これからです。

あとはぜひ中を読んでみて下さい。

まとめ

全商連の青年イベントでこのような講演が聞けて新鮮な刺激をいただきました。

岩本沙弓さんは、銀行のディーリング業務に携わり日経新聞にもレポートを書き続けていた経歴の人。国際金融の専門家の立場から社会の受け皿としての中小企業の役割がある、ぜひその角度から消費税反対を闘ってほしいとのメッセージがありました。

別の著書にも目を通してみたい。

著書にはサインもらいましたよ。

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今日は朝からボランティア。8月の広島市豪雨土砂災害で避難所となったため、9月になっても授業が再開していない梅林(ばいりん)小学校へ。5日の午前に学校を通じてPTAに連絡があり、その日の夕方までに参加の可否を連絡する慌ただしさでした。

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ああ消費されてたな、と心底感じた経験から。

働くとストレスが溜まります。限られたわずかの休みの間に疲労回復したいうえに自己実現もしなくっちゃ、生きてるってなんなの?となります。そこで、労働者は手っ取り早く制限時間内に「財」を入手して消費することで疲労回復と自己実現を図ろうとするのですね。

こう書いて何を思い出すかといえば、高額楽器を購入して4年後にヤフオクで売り払ったこととか、深夜帰宅後に近くで開いてるラーメン屋で今日の〆の炭水化物投下をしていたことであります。正直にいいました。

「ボーナス」なんてものをいただいていたころなので、余剰があるとみるや消費=散財先を探すかのように情報収集という名の「ネット依存」状態にもなるとか。はい、これも正直にいいました。

そしてのちに破綻してしまいました(させました)。

私たちはなぜ働くのか

お金のために働いて過労になり、ストレスの解消のためにモノを買って消費し食べる。そう、買いまくって食べまくる。

これでは、自己の稼いだ賃金はストレスと消費を媒介しているにすぎません。お金を稼ぐために労働者としてマーケットで消費され、持ち帰った賃金は消費のためのマーケットがしっかりと待ち受けており消費者としても「消費」されるのです。

働くことは自己実現なのかマーケットへの従属なのか。そんなことを考えてたらこの2冊を読んでました。

うんざりしたから、もうマーケットはいいよ

私個人の「破綻」などたいしたことではございませんが、この「もうやってられないよ」感。論客のなかにも取り上げる方々が増えているように思います。

消費税の5%から8%への増税が決まった直後、内田樹氏がこんな投稿を残しています。この2年で何度も読み返しました。

市場からの撤収 | 内田樹の研究室

マーケットから退場させられるより先に、自主的にマーケットから撤収する人々が出てくる。
「国民たちの市場からの撤収」が起きるのではないかと私は予測している。
「もうマーケットはいいよ」というのが現に国民のおおかたの実感である。
額に汗して労働してわずかな貨幣を稼ぎ、その貨幣で税金の乗った高額の商品を買わされるという市場中心の生き方そのものの被収奪感にもう「うんざり」し始めている。
これは健全なリアクションだ。
内田氏は、これはポストグローバル資本主義社会の経済活動が「人間的能力の開発」を要求しなくなったからだと言い、経済史的には前代未聞のことであるとします。投稿の後半では貨幣を媒介させない経済の可能性に触れています。

「貨幣を媒介させない」って、もうなんでもいいからどんどん言っちゃってくれ的自分がいることを再確認しました(笑)。

 

マネー資本主義へのアンチテーゼ

内田言説にガツンと頭を叩かれて翌年、地元広島からのこの発信。

実際に中国山地の里山暮らしのなかに入っての取材に基づいていて「マネー資本主義」へのアンチテーゼをリアルな説得力で示してくれます。

ページをめくって「はじめに」で飛び込んでくるのがこれで、

「経済の常識」に翻弄されている人とは、たとえばこのような人だ。
もっと稼がなきゃ、もっと髙い評価を得なきゃと猛烈に働いている。必然、帰って寝るだけの生活。ご飯を作ったりしている暇などない。だから全部外で買ってくる。洗濯もできず、靴下などはしょっちゅうコンビニエンスストアで新品を買っている。
「世の中の経済」にとってありがたい存在の彼がリストラされ田舎に帰省するという脚色をとおして、日本の経済に大胆な「発想の転換」が求められていると渾身の訴え。

実際の取材に基づいているとはいえ思想の書=バイブルとして座右に置いてます(政策的にはどうすんの?って消化できない部分もあり)。

本業のご相談で、田舎の「密林」の活用を考えてる方もこれ読んでました。

そして、今からポチろうとしているのがこちら。

消費者であることは、半ばは自分で選び取っていますが、半ばは企業や市場にコントロールされています。
その状態から、決意して逃避しなければならないと、わたしは思うのです。いや、決意なんて大げさなものではなくてもいいんです。アイデアをちょっと変えてみる。
では、どうするか――。それをこの本をとおして考えていきたいと思います。
――本文より――

まとめ

乱読日記になってしまいましたが、当面の(刹那の)ことに追われるより、その力から離れてみて基礎をじっくりやり直す。そのことで主導権を取り戻せ成果を得られることがたくさんありますよね。

糖質制限食で身体と対話できるようになることはそのひとつ。
なにはともあれ、食のマーケット(=糖質)から「逃げる」です。

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ひろしま代書屋日記

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